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夏期の需要逼迫にむけての緊急対策の提案[再検討版]

この度の東日本で発生した大地震におきまして、被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。
東京電力管内において、発電施設が被災し、夏期の需要を賄う為に十分な発電能力が不足しており、このままでは夏期に計画停電を実施しなければならないと聞いています。
夏期の計画停電は、冷房が停止してしまうため、熱中症にかかりやすくなり、最悪の場合、体力が落ちている方、老齢の方、新生児の健康を著しく損ねる可能性があると考えられるため、可能なかぎり回避しなければならないと考えております。
そこで、エネルギーシンクタンクとしての弊社の知見を踏まえ、夏期の需要逼迫に向けての緊急対策のご提案を先日(2011/3/20)させて頂きました。

先日の提案では、娯楽業と操業時間の夕方以降へのシフトを提案しましたが、その後の分析により、操業時間の夕方以降へのシフトにより、昼に自宅で待機する労働者の空調需要量が増え、結果的に節電効果があまりでないことが分かりました。更に商業施設の操業時間の夕方以降へのシフトも検討しましたが、昼の待機労働者の空調需要の上昇により、同様に節電効果があまりでないと考えられます。

そこで新規提案として、製造業の夜間を中心とした操業へのシフト及び事務所の一部の部署の東電管外への移転を検討しました。

上記新提案を含んだ試算では、通常の最大電力需要を6000万KWと想定した上で、1340万KWを節電(発電端)し、100万KWを60Hz圏内から送電していただくことで、ほとんど計画停電を行わない可能性が示されました。

本試算の計算は、政策担当者様に限り、試算の検証が必要な場合は、ご連絡を頂ければご提供させていただきます。

今後とも、震災から一日も早く通常な状況に戻れるよう、微力ながら可能なかぎりお手伝いしたいと思います。

平成23年3月24日
備前グリーンエネルギー株式会社

 

夏期の需給の逼迫状況
夏期の東電管内の電力の需給バランスは非常に逼迫するものと考えられます。現状において東京電力が夏までに供給可能な発電能力は4,600万KWと予想されます。これに対して需要は、本年の夏は平年より暑いとの予想もあり、平成20年レベルである6,000万KW程と予想され、1,400万KWの供給不足が予想されます。
1400万kWは、東京電力の平年の需要レベルの23%になります。つまり、本夏に東電管内では、通年の25%の省エネの実施を求められることとなります。

緊急対策提言
緊急対策は、第一段階:情報共有と危機管理対策、第二段階:要請又は政令による需要抑制策、第三段階:できるだけ行うべき対策と分かれます。

1. 情報共有と危機管理対策
どの時刻で供給量が足りなくなるか把握していれば、工場・事業所は対応が取りやすくなります。そのために必要なデータの提供を行う必要があると思われます。
また、計画停電が行われた場合、冷房が止まるため、体力がおちている方々の健康に問題が出る可能性があり、最悪の場合を想定した準備をする必要があると考えられます。

2. 要請又は政令による需要抑制策
25%削減は、前例がないレベルでの節電が必要となります。可能なかぎり計画停電を避けるためにも、関係団体に対する要請が必要となると考えられます。

3. 需給逼迫までに早急に可能な限り行うべき対策
夏期の需給の逼迫は、6月中頃から本格化しだすと考えられ、時間的猶予は限られています。その中で出来る限りのことを、迅速に行う必要があると考えられます。

 

対策1(情報共有・管理・危機管理レベル)
1. でんき予報の改善及び計画停電のシステマティック化
現在東京電力では、電気需要量をでんき予報というホームページにおいて、1時間ごとのリアルタイムで掲載しています。
このデータを5分間隔で更新されるようにして、現状の状況を精密に把握できるようにします。また、現状の値から予測される30分後・1時間後・2時間後の需要予測も公表します。
最終手段として、計画停電を行う際には、以下の様にIT等を活用し、整然と計画的に行えば、さらに混乱が避けられると考えられます。

準備
・ 東電管内を25(5×5)グループに分ける。
・ 市民が計画停電の連絡を受けるメールを登録する。
公表
・ 5分間隔で現在の需要量、30分後・1時間後・2時間後の需要予測をインターネットやメディアを通して公表
計画停電
・ 1時間後の需要予測が供給量を10分以上の間超えていた場合、その30分後に、優先順位の高いグループから計画停電を行う
・ 計画停電が決まったら、該当するグループに所属する登録メール連絡を送る。

2. 最大電力需要の予測値の共有
電力会社は、天気予報等から、一週間単位の毎時の最大電力需要量を高い精度で予測していると考えられます。この予想値を随時公表し、工場が最大電力需要予測値に応じて、操業を調整することが可能なようにします。
また、大型の商業施設やオフィスビルでは、設備担当者が日々の最大需要を管理していますから、設備担当者が予測値を持って建物の最大需要管理を行い易くすることができます。

3. 地域の空調避難所の設置
家庭に分散して空調するよりは、集まって空調したほうが、電力が少なくてすみます。また、計画停電時に熱中症を避けるためにも、地域で計画停電から外すことが可能な空調箇所を設ける必要があると考えられます。
設置の方法としては、計画停電の区域を細かく設定し、地域の病院、一部の図書館・公民館が可能なかぎり外れるように区域を決める等が考えられます。

4. 入院患者等の転院の準備
入院患者や施設入居者等の体力が低下している方がいる病院・老人福祉施設等で、常用自家発電設備が無い場合は、計画停電が行われる場合も考え、東電管内でないところへ、可能なかぎり転院が可能な様に早急に準備を行う必要があると考えられます。

 

対策2(要請又は政令のよる需要抑制レベル)
1. 事業者・家庭に対する需要逼迫時の節電の要求
夏期の電力の需要逼迫は既に予想されることであり、広域大停電及び計画停電の回避のために、事業所、家庭に対して、節電協力を要請する必要があると考えられます。

(ア) 日中の照明の節電
東電管内の事業所数は約190万社あります。夏期のピークは晴天の14時〜15時頃起こります。日中は、消灯を行っていると思いますが、更に追加で照明を消灯することで、122万KW程度の節電が可能と考えられます。

(イ) 暖房便座のカット
夏期に東電管内にある事業所・家庭の暖房便座の電源を切っていただくことで、30万KW程度の節電が可能と考えられます。

(ウ) 空調設定温度の1-2℃アップ
東電管内において、1℃気温が上がると140万KW程需要が増加します。そこで1℃〜2℃設定温度を上昇することにより、103万KW程の節電が可能と考えられます。
また、現状から1℃〜2℃の温度上昇はかなり体に負担をかけると考えられるため、クールビズをもう一段階進め、Tシャツでも勤務しても構わない社会的状況を築くことが必要と考えられます。

(エ) ノートパソコンのバッテリー活用
ノートパソコンはバッテリーで稼働することができます。ノートパソコンを仕事に活用している方にソフトウェアを導入していただき、昼の時間はバッテリーで稼動していただくようにします。
ノートパソコンはバッテリーで2時間程度可動できると考えられるので、午前10時〜12時にバッテリーで稼働するグループと、13時〜15時で稼働するグループに分けることで仕事に支障がなく、節電が可能と考えられます。これにより6万KWの節電が可能と考えられます。

(オ) 自動販売機の運転時間調整
飲料用自動販売機は、非常に電力消費が大きく1台当たり1000Wの電力を消費します。東京電力管内には約90万台の自動販売機があると考えられます。日中(9時〜18時)の可動を停止し、自動販売機の運転時間を調整することにより、54万KW程の節電が可能と考えられます。

(カ) 工場の操業時間を夜間に移行
工場において夜間の操業が可能なところは、操業時間を夜間中心に移行していただきます。例えば、2交代制であれば、1グループを0時〜8時、2グループを16時〜24時とし、昼の時間帯を避けます。25%の工場が夜間操業へ移行したと仮定すると、昼間、労働者が自宅で冷房する分を勘案しても、353万KW程度の節電が可能と考えられます。
これを産業界に要請するためには、以下のことを検討する必要があると思われます。
・ 夜間の必ず安定的な電力を供給するため、夜0時以降の事務所、コンビニ等の卸・小売店、飲食店等の営業自粛又は禁止
・ 夜間割増賃金の国の補填

夜間操業の産業界にとっての利点は、1)安定的な電力供給が確保できること、2)空調費用が大幅に削減できることがあると考えられます。

2. 特定規模電力需要に対するデマンドモニターの設置
受電容量が500KW以上の特定規模電力需要家は、東電管内に60万件程いると予想されます。これらの需要家の中で、デマンドモニターを設置していない需要家に対して、デマンドモニターを設置し、需要逼迫時の需要抑制対策に備えていただくことが重要と考えられます。
デマンドモニター設置は時間が限られているので、PCでの表示とデータの蓄積・整理ができるものとします。費用は大量に導入すれば、1台1万円程になると考えられますので、全て導入して、60億円程度の費用と考えられます(設置費用除く)。
需要逼迫時に、デマンドモニターで現在の電力需要を把握し、そこから更に10%の需要抑制をしていただきます。これによる節電効果は308万KW程と考えられます。

3. 東電管内にあるデータセンターの移転
東電管内には、多くのデータセンターが存在していると考えられます。
データセンターにあるデータサーバー自体にはUPS等の非常用バッテリーがあり、計画停電にも耐えられると考えられますが、夏期の長時間に渡る計画停電の場合は、空調が停止してしまう可能性があり、その場合、サーバーが熱暴走し、大事なデータにエラーが出る可能性があります。
そこで要請などにより、可能なかぎり、東電管内にあるデータセンターに東電管外へデータの移転をしていただき、東電管内のデータセンターを休止していただく措置をとることが必要と考えられます。
これによる節電効果は18万KW程と考えられます。

4. 東電管内にある事業所の一部移転
東電の需給逼迫は長期に渡ると考えられるため、東電管内にある事務所の一部移転が必要と考えられます。仮に5%の事業所が移転すると仮定した場合、81万KWの節電となると考えられます。

5. 家庭への節電のお願い
なるべくクーラーを止めて、扇風機で過ごす等、家庭に節電のお願いをして、今より10%以上の節電をお願いします。これにより68万KWの節電が可能と考えられます。

 

対策3(時間的に逼迫しているが、可能なかぎり進める必要があるレベル)
1. 業務用エコポイントの導入
多くの事業所で古い空調機が稼動しています。業務用エコポイント制度を設け、更新を進めます。古い空調機は冷媒がR22または、R407Cというものであり、これは廃棄時にマニフェストが出るため、このマニフェストを更新の証明として、補助金を交付することを提案します。
夏までに導入費の補助割合1/4で1000億円(内、東電管内で300億円と仮定)の補助により更新を進めた場合、51万KW程の節電が可能と考えられます。

2. 大口需要施設への太陽光発電システムの導入
太陽光発電は、最も早く導入できる発電機の一つです。また、災害用の緊急コンセントがあれば、計画停電中も日中光があれば発電し、一部の電気製品に必要な電気を賄うことができます。
現在、東電は災害の対応のため、太陽光発電の系統接続に手がまわっていない状況と予想されます。病院や官庁、駅ホームなど大口需要家に太陽光発電を入れた場合、ほとんど自家消費になるため、系統に影響を与える恐れは殆ど無いと考えられます。
そこで、大口需要施設への太陽光発電の導入にかかる系統連系の手続きを可能なかぎり、簡素化し、病院や老人ホーム等に優先的に太陽光発電を導入します。
導入能力50万KWと仮定すると、導入にかかる費用は2500億円と予想されます。
太陽光発電は、夏期に需要電力削減に大きな効果があり、これにより40万KWの節電が可能と考えられます。

3. 今回協力していただいた企業・関係者に対して需給調整契約による電力単価の割引
電力需給が逼迫した際に、優先して電力調整をして頂くかわりに、安価な電力単価を提供している需給調整契約は、現在大口需要家とのみ契約していますが、今回、特定規模需要家や娯楽施設、自動販売機営業者に最大電力需要削減のための協力を頂くこととなるため、需給調整契約を大口需要家以外とも結べるように一般化し、電力単価の割引ができる制度をつくることが必要と考えられます。

まとめ
発電供給能力4,600万KWに60Hz圏内からの送電100万KWを加え、供給能力は4,700万KWになります。これに対して、上記提案の節電後の需要は4,660万KWとなり、差し引き40万KWの余剰となります。
本提案以外に、その他の発電所からの電気の買い入れや、自家発電設備の稼働などをお願いすれば、更に電力供給の上乗せは可能であり、ほとんど計画停電を行わないで、夏を乗り切ることは可能と考えられます。

夏期の計画停電を避けるためにも、迅速な行動が必要です。関係者方々には是非とも迅速な検討をお願いしたく存じ上げます。

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