ZEB
ZEB化費用の検討例
ZEB化で増える費用の目安と、補助金を活用して負担を抑えた例です。
ZEB化で増える費用
ZEB化を実施すると、更なる省エネのための追加工事が必要となり、ほとんどの場合で、工事費等のイニシャルコストが増加します。

新築の場合
- 小規模事務所でZEB Readyを実現した場合、建物全体での費用が約10%増加となる試算があります(ZEB設計ガイドライン[ZEB Ready・小規模事務所編]より)。
- Nearly ZEBや『ZEB』の場合は、再エネ設備導入費が追加で必要となります。
既築の場合
- ZEB化のための追加工事分が増額となります。
- 例えば、「空調改修」と「照明のLED化」を計画していた施設を、『ZEB』化に変更しようとすると、例えば「Low-Eペアガラス」「断熱防水」「全熱交換換気」「太陽光発電」などの導入費用が追加で必要となります(下の表を参照)。
下の表は、2021年1月時点の検討例です。必要な対策は建物の条件と目標とする性能によって異なり、すべての設備が一律に必要になるわけではありません。補助の対象や要件は、利用する補助事業の最新の公募要領で確認します。
| 技術 | 補助対象 | 導入技術 | 『ZEB』 | Nearly ZEB | ZEB Ready | 補助金申請 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 断熱(開口部) | 補助対象 | Low-Eペアガラス | 必須 | 必須 | 必須 | ||
| 断熱(天井部) | 補助対象 | 断熱防水 | 条件に応じて必須 | 条件に応じて必須 | 条件に応じて必須 | 開口部の断熱だけで達成しない場合 | |
| 断熱(壁面) | 補助対象 | 外断熱 | 条件に応じてあると良い | 条件に応じてあると良い | 条件に応じてあると良い | 開口部、天井の断熱だけで達成しない場合 | |
| 照明(器具) | 補助対象外 | 高効率LED | 必須 | 必須 | 必須 | なるべく高効率のものを選定 | |
| 照明(制御) | 補助対象外 | 人感、照度制御(無線) | 条件に応じて必須 | 条件に応じて必須 | 条件に応じて必須 | 人感、照度制御はほぼ必須に近い。最新の無線集中照明制御システムは省エネ加点。レイアウト変更に柔軟に対応でニーズ高い | |
| 空調(エアコン) | 補助対象 | 高効率カスタムエアコン、高効率マルチエアコン(EHP、GHP) | 必須 | 必須 | 必須 | なるべく高効率のものを選定。GHPでもZEBにすることは可能 | |
| 空調(熱源) | 補助対象 | 高効率チラー(散水式)、GHPチラー | 必須 | 必須 | 必須 | ZEBに熱源を用いる場合に散水、VWVが必須。BCP対策として、サブ機をGHPチラーにする対応も可能 | |
| 空調(空調機) | 補助対象 | AHU(VAV、HEX) | 必須 | 必須 | 必須 | VAV、HEXは必須 | |
| 換気 | 補助対象 | 全熱交換換気(DCモーター) | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 | 全熱交換は、空調エリアでほぼ100%必須 |
| 給湯(電気) | 補助対象 | 業務用エコキュート | 条件に応じて必須 | 条件に応じて必須 | 条件に応じて必須 | 給湯需要が大きい施設(病院、ホテル等)では必須 | |
| 給湯(ガス) | 補助対象外 | エコジョーズ | 条件に応じて必須 | 条件に応じて必須 | 条件に応じて必須 | 給湯需要が大きい施設(病院、ホテル等)では必須 | |
| コージェネ | 補助対象 | コージェネ | 条件に応じてあると良い | 条件に応じてあると良い | 条件に応じてあると良い | 排熱需要がある場合に有効 | |
| 太陽光発電 | 補助対象 | 太陽光発電 | 必須 | 必須 | 条件に応じて必須 | 『ZEB』、Nearly ZEB、レジリエンスZEBは必須 | |
| 蓄電池 | 補助対象 | リチウムイオン蓄電池 | 条件に応じて必須 | 条件に応じて必須 | 条件に応じて必須 | レジリエンスZEBは必須 | |
| 計測器 | 補助対象 | クラウド型BEMS | 必須 | ||||
| 変圧器 | 補助対象 | アモルファストランス | 条件に応じてあると良い | 条件に応じてあると良い | 太陽光発電、蓄電池を入れる際に同時に更新 |
表の「補助対象」「補助金申請」は、2021年1月時点の補助事業での例です。補助の対象や要件は、年度や補助事業によって変わります。
このように、ZEB化を実施すると、イニシャルコストが増加するケースが多いです。しかしZEB化を実施することで、設備導入や工事にかかる費用に補助金が活用できます。さらに、ランニングコスト削減効果も向上するため、ZEB化を実施したほうが、コストメリットが大きいケースもあります。
コストメリットが得られた例:津山市総合福祉会館
| 当初の計画(Before) | 実際の内容(After) | |
|---|---|---|
| 改修内容 | 空調の更新(室外機のみの更新) | 屋根外断熱、Low-Eペアガラス、高効率空調、高効率換気扇、照明のLED化、BEMSの導入、その他各種センサの導入 |
| 改修費用(実質負担額) | 4,320万円(工事費:4,320万円、補助金:0万円) ※当初計画の内容では、当時、活用できる補助金はありませんでした |
4,800万円(工事費:9,600万円、補助金:4,800万円) ※補助率2/3の補助金を使用。補助対象とならない工事もあるため、実質の補助金額は約1/2程度でした |
| ランニングコスト削減額 | 60万円/年(推計値) | 165万円/年 |
| 投資回収年数 (実質負担額÷ランニングコスト削減額) |
72年 | 29年 |
※記載の金額は税込み価格です。
津山市総合福祉会館は、空調機が老朽化し、様々な不具合が生じていたため、「空調の更新」を計画していました。しかし、この改修費用を負担する津山市からの提案で、ZEB化による全面改修を行うことになりました。
当初の計画である「空調の更新」の費用は4,320万円でした。当時、この計画に活用できる補助金が無かったため、実質負担額は4,320万円です。一方、実際に実施した改修工事では、「空調の更新」以外に、「屋根外断熱」「Low-Eペアガラス」「高効率換気扇」「照明のLED化」「BEMSの導入」等が追加となったため、工事費が2倍以上になりました。
しかし、ZEBを達成することで、補助率2/3の補助金を活用することができたため、実質負担額は、当初の計画に対して、わずか500万円の増加でした。さらに、ZEB化することで、年間のランニングコスト削減額が100万円以上も増加したため、結果としてZEB化することで、コストメリットも得ることができました(事例:津山市総合福祉会館)。
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